「旧三津坂隧道」を訪ねてみた(6/23)

少し前の話ですが、伊豆の国市沼津市の境にある「旧三津坂隧道」を訪れたときの話をしようかと思います。

「旧三津坂隧道」があるのは、静岡県道130号線(伊豆長岡三津線)にある「三津坂」バス停の近くから延びる細い道を、山の方へ進んだところです。

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この「旧三津坂隧道」は、明治時代に作られた手掘りのトンネルで、「天城越え」で有名な天城峠の「旧天城トンネル」よりも古いというトンネルです。

周知の通り、伊豆長岡と三津との間には、現在は県道130号線のトンネルがあり、「旧三津坂隧道」自体は、半世紀以上前にすでにトンネルとしての役目を終え、トンネルには「立ち入り禁止」の看板が出ています。

そんな「旧三津坂隧道」ですが、お一方の男性が、保全に向けた活動をなさっているようです。トンネルの中にたまった土砂を運び出したり、トンネルの周りに不法投棄されたごみを除去したりなさっていました。確かに、トンネルの周りには、土砂が積まれているだけでなく、不法投棄されたものであろう農業用のビニールと思われるごみがありました。トンネルが立ち入り禁止となり、「廃道状態」になって数十年が経過しており、その間に土砂が堆積しただけではなく、大量のごみが不法投棄されてしまったということなのです。

「旧三津坂隧道」は、伊豆半島最古級のトンネルであることは先ほども述べたとおりです。それゆえ、文化財としての価値が認められ、整備されるべきものであると考えます。しかし、トンネルの保全に取り組まれていらっしゃる男性は、「文化財」としてだけではなく、「地域の人々の生活道路」としての「旧三津坂隧道」の整備の必要性にも言及していました。

県道130号線の「三津坂トンネル」には、歩道が整備されておらず、加えて路肩もほとんどない状態です。自家用車などの通行も少なくないだけではなく、伊豆長岡駅伊豆三津シーパラダイスを結ぶ路線バスなど、大型車の往来もある道路となっています。トンネル内は暗く、歩行者や自転車が通行するには危険ともいえる状況にあります。地域住民の方々も危険な思いをしているといい、「歩行者や自転車のための安心して通れるう回路」としての、「旧三津坂隧道」の再整備が必要なのではと、男性は仰っていました。

私自身、県道のトンネルは何度か車で通過したことがありますが、車で通っても暗くて狭いと感じることは確かです。歩行者や自転車にとっては、なおさら危ないところであるのではと思います。現時点では、静岡県沼津市も、「旧三津坂隧道」に関しては、特に何かしらの施策を取ろうという動きは見られないようです。明治時代に作られ、当時の地域の人々の移動を支えた「文化財」としても、暗くて狭いトンネルを避け、歩行者や自転車が安心して通れる「地域の人々の生活道路」としても、「旧三津坂隧道」の存在がもっと評価され、修復や整備に向けた動きが大きくなることを願うばかりです。

今回はここまでです。お読みいただきありがとうございました。

 

 

写真は筆者撮影