のと鉄道廃線跡巡り①(2019年3月18日)

今回も過去に訪れたところを紹介していく記事です。まだ取り上げていないことが結構あった上、一つ一つを掘り下げていくとそれなりの本数の記事を書ける程度の情報量になると思うので、可能な限り書き進めていきたいと思います。

今回の話題は昨年3月に行った石川県は能登半島の「のと鉄道能登線」の廃線跡巡りです。

のと鉄道」とは、簡単に紹介すると、能登半島七尾駅から穴水駅の間を走る、JRの路線が経営転換された第三セクターのローカル線です。途中には和倉温泉があり、そこまでは大阪や金沢から特急列車が乗り入れています。

のと鉄道の現在の路線は先ほど挙げたものだけですが、かつては穴水駅から先、輪島駅まで路線が伸びていた*1ほか、穴水駅から分岐し、蛸島駅までの路線も存在しました。*2

1988年にJR西日本から路線を引き継いだ当初、のと鉄道は列車の増発にも取り組み、それにより乗客数や収入を伸ばすこともできました。当時は日本各地で旧国鉄・JRの路線を地元が引き継いで運行する第三セクター鉄道が相次いで設立され、中には転換前よりも経営状態を改善させたところもあったのです。のと鉄道もすなわちその「第三セクター鉄道の成功例」の一つとして評価されていましたが、その後の能登半島における道路整備とそれに伴う沿線住民の自動車利用の増加、また沿線地域における人口減少・過疎化の進行により、乗客数は一転減少してしまいました。それを受け、2001年には穴水駅~輪島駅間を、2005年には穴水駅蛸島駅間をそれぞれ廃止し、現在に至ります。*3

鉄道研究会の旅行で和倉温泉に行くものがあったので、参加するついでに廃線跡をレンタカーで見て回りました。廃止区間はそれぞれ廃止から約15~20年が経過していますが、いまだに多くの箇所でその痕跡が残っているほか、駅舎やレールがそのまま残されているところもあります。先日の長野電鉄屋代線よりも、廃線から時間が経った廃線跡ですが、鉄道施設の残り方はあちら以上でした。2日間かけて能登線七尾線廃線跡のうち見られる範囲のところを見て回りました。今回は1日目の能登線の様子を紹介したいと思います。

f:id:plum_0417:20200413172914j:image

最初に訪れたのは蛸島駅です。能登線自体がもともと比較的新しい路線だったこともあり、残っているものも含め鉄道施設は比較的近代的なものであることが多いのです。蛸島駅の駅舎もコンクリート造りのものでした。

f:id:plum_0417:20200413173654j:image
f:id:plum_0417:20200413173700j:image

線路も残っていました。意外にもきれいな状態だったので、定期的に手入れがなされているのかなと思ったところです。それにしても、線路の先にある看板がすごく目立ちましたね。”something else is possible"、この看板はいったい何ができようというのでしょう。

f:id:plum_0417:20200413173742j:image
f:id:plum_0417:20200413173747j:image

蛸島駅の近くには、かつて使用されていた車両が置かれています。保存という言葉が適切なのでしょうが、車体の痛みが激しく、植物にかなり浸食されているようでした。

こちらの「NT100形」車両は富士重工製。富士重工とは今のSUBARUのことで、世間では自動車メーカーとして広く知られている企業ではありますが、かつては鉄道車両も製造していました。特に気動車を得意としており、主な顧客はのと鉄道のような第三セクター鉄道で、日本各地のローカル線で富士重工製の気動車が活躍していました。

f:id:plum_0417:20200413174112j:image
f:id:plum_0417:20200413174058j:image
f:id:plum_0417:20200413174104j:image

蛸島駅を後にして恋路駅へ。「恋人の聖地」とされているらしく、他の駅跡地よりもやや観光地化している雰囲気がありました。小さなトロッコ列車もあるようでした。トンネルにはその車両と思しきものが置かれていました。

f:id:plum_0417:20200413174202j:image
f:id:plum_0417:20200413174207j:image
f:id:plum_0417:20200413174157j:image

トンネルの中はお酒を熟成するために活用されていました。この地域の地酒「宗玄」が熟成されているとのことです。そのことを示す駅名標を模した看板もありました。

f:id:plum_0417:20200413174252j:image
f:id:plum_0417:20200413174247j:image

宿への集合時間の都合もあったため、恋路駅周辺の散策をもって切り上げました。宿での食事には能登地方の地酒の飲み比べができました。中には「宗玄」もありました。なかなかおいしいお酒だったので、今度はお店などで買って楽しみたいですね。

この日、私が朝寝坊して飛行機に乗り遅れるというアクシデントを起こしてしまい、結果として駅やその他構造物の跡をさほど回れずに終わることになりました。ほかにも駅舎の跡などが多く残っているとのことなので、機会があればぜひともリベンジしたいと考えています。

次回は七尾線の廃止区間です。お読みいただきありがとうございました。

続き

 

plumroom-0417.hatenablog.com

 

(写真は筆者撮影)

*1:現有路線含め、七尾駅~輪島駅間で「七尾線

*2:穴水駅蛸島駅間の「能登線

*3:最盛期には総延長100㎞を超える、第三セクター鉄道としてはかなり大規模な事業者でしたが、現在は総延長33㎞とかつての約3分の1程度にまで縮小してしまいました。