「ラブライブ!サンシャイン‼」と沼津の地域活性化

「アニメの聖地化」が、長期的な地域活性化と人口増加につながるか

先日放送されたTBS系「噂の東京マガジン」の「噂の現場」というコーナーにて、沼津市と「ラブライブ!サンシャイン‼」の関係が特集されていました。

特集の内容をざっくり説明すると、「人口減少・流失に悩まされてきた沼津市が『ラブライブ!サンシャイン‼』の舞台になったことにより、沼津市を訪れる人が増加。さらには移住する人も増えていて、2019年には37年ぶりに転入数が転出数を上回った」というものでしょうか。実際に移住した人や地元の人、沼津市の頼重市長などへのインタビュー等も交えつつ、特集のコーナーが組まれていました。

特集の内容自体は概ね好意的な内容でした。番組出演者は高年齢層の人が多く、アニメなどへの理解があまりなさそうという声も聴かれましたが、意外にも反応は好意的で、コンテンツを活かした地域活性化などに対する期待も聴かれました。

もっとも沼津市の人口推移の変化が、ラブライブ!の影響に限らないという話もあるようです。頼重市長は番組のインタビューに対し、子育て支援策や起業する人への経営支援等を打ち出していることも説明しています。それでも他都市との明確な差別化が図れずにいたため、沼津市ラブライブ!の舞台に選ばれたということによる効果についても言及していました。

強いて挙げるとすれば、沼津市内において働く場所がどれだけあるかということや、東京や横浜まで通勤するのに(当たり前ですが)時間がかかるということが、沼津移住における障壁となり得るところでしょうか。安定した働き口が多くあったり、コロナ禍を経てテレワークが浸透し、勤務地の近くに住む必要性も薄れたりすれば、沼津への移住に係る障壁も少なくなるのでしょうか。

www.at-s.com

www.tokyo-np.co.jp

静岡新聞東京新聞によれば、ららぽーと沼津の開業や若者世代への住宅取得補助、子供の医療費の無償化や企業誘致・リノベーションまちづくりなどによる雇用創出による影響もある(市の見方)とのこと。特にららぽーと沼津周辺の地域への転入が増えているようで、一戸建て住宅やアパートなどの新築件数もその地域を中心に増加したとのこと。

一方で、2紙ともに「人口自体は減少傾向にある」ことにも触れています。2019年の人口転入数は7988人に対し、転出数は7680人であり、この2つを差し引きした社会動態は308人の転入超過(社会増)となっています。一方で、市内の出生者数と死亡者数を差し引きした自然動態は1425人のマイナス(自然減)となっており、2019年は沼津市の人口はトータルで1117人減少。転入超過はいい傾向ではありますが、人口減少に歯止めをかけるまでには至っていないようです。2019年12月末現在における沼津市の人口は19万4869人でした。

番組を見る限りでは、頼重市長の受け止め方はかなり冷静で、「ブームがいつまでも続くとは限らないので、我々も政策を打っていく必要がある」というようなことを仰っていました。知るきっかけにはなれど、いつまでもラブライブ!一本足じゃいかんということなのでしょうか。

人口増加へとつなげるには、社会動態を増加傾向にもっていくことも大事なのでしょうが、自然動態も増加へと持っていくことが大事なんだろうなと思います。その為には、アニメを用いた街おこしのみならず、子育て世代の移住・定住へとつながるものが必要なのかなと、素人ながら思うところです。

f:id:plum_0417:20201130201957j:image

ラブライブ!サンシャイン‼」のブームにより、沼津を訪れる人の数は増えたとは言うものの、市の中心部はあまり活気のある様子とは言えないときが多々あります。沼津市民ではないものではありますが、もっと元気な沼津になってほしいと願わんばかりですね。

(写真は筆者が撮影)