沼津駅高架化、今年こそ進展ある?

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今月4日から5日にかけて沼津に滞在した際、宿泊したホテルは南口のリブマックスさんでした。他と比較しつつ素泊まりで安いところをということでのチョイスでしたが、普通に快適に過ごせるいいホテルでした。部屋に電子レンジが付いていたのは驚きでした。コンビニやスーパーでお弁当を買ってきて、部屋でチンして食べるというような用途を想定しているのでしょうが、ビジネスホテルとしては確かにあったら便利という設備でしょうね。

翌朝は丸勘さんで朝ごはんを済ませつつやば珈琲さんでコーヒーを飲んだのち、北口にある5周年展示会会場の「キラメッセぬまづ」まで向かいました。

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北口まで向かうのにガードを通らず、駅構内の跨線橋を通ることに。

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130円の入場券を買えば、わざわざガードまで回らずに駅の南北を行き来できるわけですが、それもそれでなかなか不便なもの。舞台巡りで回るようなところは概ね南側にありそこを回る限りにおいては支障はないように思えますが、今回のように北側でイベントがあったり、あるいは駅の北にあるさわやかと港の方を行き来したりする場合には、もう少し便利に行き来出来ないかと思うものです。

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そんな沼津駅ですが、実は高架化の計画が30年以上前からあります。駅の西にある車両基地や貨物駅を移設しつつ、3面6線の沼津駅やその前後の東海道線御殿場線を高架に移設するというものです。

1988年に当時の市長が高架化の方針を決め、その後2006年までに高架化の都市計画の決定や認可を行い、土地収用に向けた準備をスタートさせていました。収用に応じない地権者に対する強制収用に向けた調査にも取り掛かっていたようです。

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それに待ったをかけたのが、近ごろリニアで世間を騒がせている川勝平太静岡県知事。特に移転先の地権者との間で交渉が難航していた貨物駅について、「沼津に貨物駅は要らない」と主張。これに沼津市JR貨物は大変困惑したようですが、沼津市はこの主張を受け、2010年に強制収用に向けた調査をストップさせてしまいます。ただ、他に良い代替地が見つからないことにより「沼津に貨物駅を設けるのが適当」という意見が有識者から示されたほか、環境意識の高まりによる鉄道貨物輸送への再評価の流れなどもあり、川勝知事も「貨物駅不要論」を撤回。2014年の県議会において、沼津駅高架化事業について、積極的に取り組む意向を表明します。その後、貨物駅の移転先の地権者との交渉や、明け渡しに応じない地権者との裁判などもあり、今に至るというものです。

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その裁判について、昨年12月に静岡地裁が原告の請求を全て却下するという判決を出しました。駅周辺の交通量は減少しておらず、立体交差化の必要性はまだあるということ、代替案として橋上駅化を取った場合にも、事業費を大きく削減することはできないということを理由に挙げています。判決を受け、原告側は控訴を検討するとのことです。

原告である貨物駅移転先の地権者が持つ土地については、今年2月5日までに土地の物件を撤去しない場合、行政代執行を実施するという旨の戒告書がすでに出されているとのこと。早ければ今年中にも何らかの動きがあるのでしょうか。

メインの舞台は内浦ではあるものの、「ラブライブ!サンシャイン‼」にも沼津駅周辺の風景は登場します。北口でのビラ配りのシーンや旅先から沼津に帰ってきたシーンなど、沼津駅の駅舎が登場するところもいくつか見られます。特に劇場版では南口の駅舎は頻繁に登場しますね。オープニングの「僕らの走ってきた道は…」やエンディングの「Next Sparkling!!」等々、浦の星女学院の校舎よりも登場するような気がします。前者ではついに駅のホームも出てきましたね。

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もし駅が高架になれば、当然ながらそれらの情景は失われることになります。沼津でAqoursを感じられるようなところが減ってしまうことは、1人のファンとして確かに寂しいものではあります。

されど現状の沼津駅が使いやすいものかといえば、好きなコンテンツの舞台ということを含めても、お世辞にも便利とは言えないものであります。駅の南北を行き来するのにあまねガードまで回るか、さもなくば駅の入場券を買うかという状況は、市街地の中心部としては何とも不便に感じるもの。また跨線橋にエレベーターがある以外のバリアフリー設備がないことも、やはり使いにくさを感じる点であります。スーツケースを使っている場合に跨線橋を利用するにあたり、わざわざエレベーターを使うというのは、待ち時間を含めてやはり面倒なもので、エスカレーターが欲しいなと思うところでもあります。このような点を一気に改良するという点において、駅の高架化の意義は大きいと考えています。

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高架化事業に合わせて再開発も行われるようで、それによる中心部の活性化というものも当然ながら期待できるわけです。駅前に魅力的な施設などがあれば、郊外に分散していた人の流れを中心部へと向かわせることにもなるのでしょうし、街の魅力向上による他地域からの転入にも期待できるはず。沼津市にとっては単なる交通の円滑化に留まらない、将来の街づくりに向けた超重要プロジェクトであるわけです。その旨は地裁判決を受けた市長のコメントにも表れています。(コメントは先述の新聞記事を参照)高架化やそれに伴う鉄道施設の移設、道路の再整備などにより、新たに利用できる土地の創出や人の流れの変化などもあり得る話であり、これらを活かした新たな街づくりという意味でも、高架化を進めるということの意義は十分なほどあるはず。

もし仮にあの時事業がストップしていなければ、こんな「たられば」の話を論じるのも何ともナンセンスな気もしなくはないのですが、今頃少しは形になりつつあるようなところまで来ていたのでしょうか。駅の高架化こそ完成していなかったとしても、新車両基地か新貨物駅はできていたのかもしれません。立場によってはそれはそれで喜べないという方もいるのかもしれないにせよ、ただ実質10年という停止期間というのは、どちらに転ぶにせよ非常にもったいない時間であったはずでしょう。話がかき回された挙句、予想だにしなかったロスタイムが生じてしまうというのは、現在進行形で起こっているリニアの問題と似たような構図であるように思えてしまうものです。

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知事による唐突な「貨物駅不要論」により、事業が実質的な停止状態に陥ってから早10年以上、今年こそは話が動くのでしょうか。多額の予算を費やして行う高架化事業が、沼津の街やそこに住まう人々にとって、良い結果をもたらすものであることを願うばかりです。そんなことを沼津の外から思いつつ、今回の記事を〆たいと思います。