【乗ってみた】ホンダ・N-ONE(Premium Tourer) 良い脚にターボも得た”プレミアムすぎる”軽

気が付けばホンダの軽に乗っている当ブログ。今回乗車したはN-ONEのターボ車、Premium Tourer(プレミアムツアラー)です。

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N-ONE自体には5月にも乗車しており、その時の雑感は6月公開の記事にもまとめてあります。その為、車の概要等はホンダの公式HPや以前の記事を参照していただくものとし、今回は割愛します。

N-ONEは主に4つのグレードから構成されています。以前乗ったのは最もベーシックな「Original」というグレードの車です。58㎰の自然吸気エンジンながら、街中から高速、山道まで、様々なシチュエーションでしっかり走ってくれる車であり、内外装の質感も高く、下手な普通車よりもずっといいとすら思わせられました。

Originalの他、トップに位置するスポーティなグレードとしてRSがあるほか、その中間にいるのがPremiumとPremium Tourer。前者が自然吸気エンジン、後者がターボエンジン車となっています。初代以来「プレミアムな軽」というキャラクターが特徴であるとされるN-ONEにおいて、シンプルなOriginalやスポーティなRS以上にN-ONEらしいと言えるはずです。

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エクステリアはOriginalとは違った趣になっています。グリルにはシルバーの淵や横桟が入り、Originalよりも押し出し感があります。リアにはPremiumという文字も入り、Originalとの違いをアピールしています。

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インテリアもOriginalと異なります。装備面では大きな違いはないものの、フロントシートやインパネに白を配した内装が特徴的だったOriginalに対し、こちらは黒を基調にした色遣いとなっています。特にインパネには黒の木目調パネルがあしらわれており、上質感が演出されています。一方、リアシート周りには大きな違いはありません。こちらはOriginalでも黒が多用されていました。

Premium Tourerが搭載するターボエンジンはNシリーズ共通のもの。最高出力は64㎰/6000rpm、最大トルクは10.6kgf・mとなっています。自然吸気エンジンとは違いこちらはVTECではないのですが、レットゾーンは7000rpmからとなっており、高回転まで回せるエンジンです。ボアとストロークは60.0㎜×77.6㎜となっており、かなりロングストローク型のエンジンになっています。ターボのFF車のWLTCモード燃費は21.8㎞/L*1、JC08モード燃費は25.6㎞/Lで、マイルドハイブリッド等のモーターアシスト機構を持たない軽乗用車としてはそこそこの数値になっています。

今回も行程は横浜市内と沼津市内の往復。走り出しの下道から感じたのは足の良さ。これは先日のOriginalとほぼ同じです。最近のホンダ車に共通する、フラット志向でありつつも衝撃はしっかり吸収してくれる足回りになってました。硬くしてスポーティーな乗り味を謳うのではなく、かといって柔らかすぎず、絶妙なラインを突いた味付けがなされているようです。走り出してすぐに好感が持てたポイントでした。

流れのいい道に出て感じたのは、ターボエンジンならではの余力感です。NAエンジンも決して非力というわけではなかったのですが、出足の軽さと加速の伸び方はさすがターボと言ったところ。最高出力は+6㎰、最大トルクは+4.0kgf・mに留まるものの、最大トルクを発生させる回転数が2600rpmまで下げられており*2、そこまで踏み込まずともスムーズに加速してくれる印象を持ちました。N-WGNのターボ車に乗った時にも感じましたが、1.3Lくらいの自然吸気エンジンを積んでいるかのような乗り味です。

横浜青葉インターから東名高速に乗り、今回は長泉沼津インターを目指します。土曜朝らしく東名高速は大和トンネルまで渋滞。早速ACCの出番と相成りました。渋滞中に一定時間以上停止しているとエンジンが停止し、リセットボタンを押すとエンジンが再始動し、前車に合わせて発進するというもので、また当然ながら電動パーキングブレーキとも連動します。軽自動車も豪華になったものだと痛感させられる装備です。

海老名ジャンクションを過ぎるころには渋滞はほぼ解消。高速道路らしいペースで走れるようになりました。西進するにつれてと山間部へと入っていき、登り坂も増えていくところで、NAエンジンのOriginalではエンジンの回転数が上がっていったような区間でも、さほどうなりを上げなかったように感じました。高架の継目を通過した時も、振動はそこまで目立たず、高速域での乗り心地も良好でした。

ターボエンジンということで、特に躊躇うこともなく御殿場ジャンクションから新東名に入り、長泉沼津インターチェンジまでの1区間だけ120km/h走行を試してみることに。ターボ車とはいえ軽自動車で120km/hは厳しいのではと思いきや、実際に走らせてみると余裕そのもの。高速巡行を余裕でこなせるパワーがあることもさることながら、高速域でも高い安定性を誇るシャシーの性能をも感じ取れました。昨年春に乗ったN-WGNもそうでしたが、ホンダの軽自動車はパワーのみならず、シャシーの出来も軽自動車のイメージを覆す出来になっていたのが印象的です。

東名高速道路を降りて沼津市街へ入り、昼食の後沼津市南部へ。信号の少ない海沿いの道が、この車で一番楽しく走れるシチュエーションかもしれないと感じました。コーナリング時に変なロールを感じることや立ち上がりの再加速でももたつくことがほぼなく、軽自動車ではあれど、「小さな高級車」に乗っているかのようでした。

温泉に入ったりちょっとした買い物を済ませたりしつつ、駿河湾沼津スマートインターから新東名に乗り、横浜市内へ帰還。新東名では軽自動車離れした高速安定性を試しつつ、大和トンネル付近ではACCの渋滞時のアシスト機能をフル活用しながら帰ったわけですが、ほぼ1日中運転していた感覚としては、運転に伴う疲労感があまりありませんでした。

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今回の燃費は満タン法で17.7km/l、燃費計で16.8km/lでした。前に乗ったNA車が20km/l越えだったことを思うとやや悪化していますが、ターボ車ゆえにこの程度は仕方がないと思える範疇。むしろ走りの内容を考えると悪くないと思えるレベルです。ロングドライブを前提とするともう少し伸びてほしいところではありますが、日常用途や週末の小旅行程度であれば、この数値でも問題なさそうです。新東名での120km/h走行やワインディング等がなければ、もう少し伸びたのかもしれませんが。

軽自動車をここまで作り込む必要があるのかという疑問が全く無いわけではありませんが、それでも「プレミアムな小型車」と捉えれば、この車は至って優秀であると言えます。走りやデザインのみならず、使い勝手も十分すぎるくらいいい車なので、所詮軽自動車などと侮っちゃいけない一台なのかもしれません。軽自動車として多くの人がイメージする「生活のための足」としては、確かにプレミアムすぎるということは否定できませんが、”その枠の中で出来るささやかな贅沢”と解釈すれば、これって十分ありだなと思えるはずです。

*1:複合モードの数値、市街地モード17.6㎞/L、郊外モード23.2km/L、高速道路モード23.3km/L

*2:NAエンジン車は4800rpm