1.”純米酒しか作らない”沼津の酒蔵

先月29日、沼津市大手町にある酒店「松浦酒店」さんが主催のイベントが、仲見世商店街近くの居酒屋「半蔵2」を会場として開かれました。沼津市原にある酒蔵「高嶋酒造」とコラボしたイベントで、イベントでは同酒造の代表する商品である日本酒「白隠正宗(はくいんまさむね)」のほか、同社の焼酎や梅酒などが提供されました。
高嶋酒造さんが創業したのは1804(文化元)年、今から220年前のことです。そして、今に至るまで醸造され、沼津を中心に親しまれている日本酒「白隠正宗」が誕生したのは、1884(明治17)年のことになります。白隠正宗は、東海道原宿(今の沼津市原地区周辺)出身の禅僧「白隠禅師(1685~1768)」にちなんで名付けられました。白隠禅師は「臨済宗中興の祖」とされており、明治時代には当時の政府から「正宗国師(しょうじゅうこくし)」という諡号(しごう)*1が与えられました。その際に白隠禅師の墓がある松陰寺(しょういんじ)を訪れた勅使が出されたお酒を気に入り、正宗国師の「正宗(せいしゅう)」と「清酒(せいしゅ)」をかけて、「白隠正宗」と名付けたそうです*2*3
高嶋酒造さんの商品ラインナップは、定番商品として日本酒8種類のほか、焼酎や梅酒があります。日本酒については、2012(平成24)年度の醸造分から純米酒のみとして、醸造アルコールを添加する商品を廃止しました。より多くのお米を使う純米酒のみとすることで、酒造りを通して地域社会に貢献したいとしています。「この地でしか作れない地酒を最高のコミュニケーションツールに」というコンセプト*4のもと、静岡県産の酒米を使用したお酒も製造しており、その姿勢はお酒からも感じ取ることができます。また、「富士山の日朝搾り」や夏酒など、季節に合わせたお酒も送り出しており、一年を通して飲み手を楽しませ続けている酒蔵でもあります。

2.日本酒から焼酎、梅酒が勢ぞろい!

今回のイベントでは、日本酒のほか焼酎や梅酒、甘酒も用意されました。焼酎は「en(えん)」という酒粕を原料としたものがハイボールとして提供されました。シェリー酒の空樽で2年以上熟成させた焼酎で、ハイボールにしてもその独特な香りをしっかりと感じることができました。これは家でも暑い日に是非とも飲みたいお酒ですね!梅酒は「氷温熟成梅酒」と「さっぱり梅酒」の2種類が用意され、グラスに氷を入れてロックでいただくことができました。これらの梅酒を常備してしまった日には、松浦酒店さんの公式グラスに氷を入れたもので、毎晩のように飲んでしまいそうな気がします。ノンアルコールで自然な甘さの甘酒は、デザート感覚でいただくことができました。「飲む点滴」とも言われている甘酒は、「必須アミノ酸」や「ビタミンB群」、「食物繊維」や「オリゴ糖」などが豊富に含まれており、日本では古くから夏バテ予防の食品として親しまれてきたそうです。梅雨明け前の静岡で40℃を記録するなど、すさまじい猛暑に見舞われている今年の夏ですが、毎日少しずつでも「沼津の甘酒」をいただきながら、夏まつりなどのイベントを楽しむなど、元気に過ごしていきたいですね*5。

色んなお酒が集まっていましたが、主役はやはり日本酒でした。この時期限定の「夏酒」をはじめ、5種類の日本酒が用意されていました。白隠正宗で一番スタンダードな「辛口純米」もありましたが、こちらは沼津市内で最近見かけることが増えたキャラクター「ヒモノラ」がラベルにデザインされたもので、おみやげにも良さそうなお酒でした。一番良かった点は、酒蔵の方が席を回って解説をしてくださったところでしょうか。普段お酒を飲んでいて、ラベルを見ながら飲んでもわからない話も聞くことができました。この日あった日本酒に「愛国純米生酛造り」というお酒があり、「精米歩合70%」というスペックに恐れおののいたものの、「『愛国』という品種がとても小さな粒のお米」だということを聞き、日本酒の世界も非常に奥が深いなと感じた次第です。
3.クラフトマンシップをしっかり感じられる沼津の地酒
松浦酒店さんのイベントに参加したのは今回が3回目でした。1回目は昨年7月1日の「津島屋」の会、そして2回目は今年2月の感謝祭です。日本酒に特化したイベントは昨年以来の参加でした。
昨年いただいた津島屋各種はどれも個性的で、香りも味も口当たりも、全方位で尖った日本酒が多く、その時も「日本酒も面白いな・・・」と感じさせられたお酒ばかりでした。一方の白隠正宗は、尖りすぎた面をあまり持たず、とても飲みやすいお酒ばかりではありますが、どのお酒にも日本酒の面白さが隠されています。今回のイベントでは飲み比べもできたので、「日本酒もすごいな・・・」と改めて感じさせられた、大変いい機会になりました。日本酒だけでもいろんなお酒があって、その世界は「海」のように広いといえます。それらを色々飲んでみる「冒険」も面白いものではありますが、「白隠正宗」はどこか安心する「帰る場所」のような雰囲気を感じます。高嶋酒造さんは200年以上の歴史がある酒蔵ですが、この先も美味しいお酒を発信して、沼津の街を盛り上げていってほしいですね。
*1:、高貴な人に対して生前の功績に基づいて死後に与えられる名前のこと
*2:高嶋酒造株式会社|白隠正宗|沼津の地酒―会社概要 https://www.hakuinmasamune.com/gaiyo/index.html 2024年7月7日閲覧
*3:沼津市ホームページ ホーム―市政情報―ぬまづの人―文学・芸術―白隠禅師
https://www.city.numazu.shizuoka.jp/shisei/profile/hito/bungaku/hakuin.htm 2024年7月7日閲覧
https://www.hakuinmasamune.com/concept/index.html 2024年7月7日閲覧
*5:ただし甘酒にはブドウ糖が多く含まれており、大量に摂取すると糖尿病のリスクが高まるため、適量を守って飲むのがよさそうです!