- 1.移住者が増える沼津における「移住者の孤立」という課題
- 2.移住者が作ったネットとリアルのハイブリッド型コミュニティ「umineco(うみねこ)」
- 3.具体的にどんなものなの?
- 4.どんなことをやっているの?
- 5.交流を深めて悩みも楽しみも共有しつつ、一人ではできないことも!
1.移住者が増える沼津における「移住者の孤立」という課題
コロナ禍以降、他地域から沼津市へ移住する人が増えつつあります。先日沼津市がまとめたデータでは、2023年度は378人の人が沼津市へと移住したそうです。昨年度比で125人増加し、2年連続で3桁に達しました。約半数が首都圏からの移住であり、世代別では20代の世帯が約4割、30代の世帯が約2割となっていて、若い世代の移住者が目立っています。「ラブライブ!サンシャイン!!」のファンが移住するケースもあるほか、東海道新幹線が停車する三島駅まで近く、東名高速道路や新東名高速道路も通っていて交通の便が良いなど、利便性の良さが選ばれる理由の1つになっているようです*1。静岡県内の他の自治体と比べると、1位の浜松市(545人、前年度比+155人)に次ぐ2位であり、県庁所在地の静岡市(271人)のほか、近隣の富士市(216人)や三島市(158人)を上回りました。
一方、移住者が沼津に定着するような試みについては、未だに行政レベルでも模索が続いているようです。移住者が孤立し、それが遠因となり沼津を離れてしまうのではないかということを懸念しているようです。沼津市も対策に乗り出しており、移住者同士のつながりを深めるため、交流会を開くことを検討しています*2。
2.移住者が作ったネットとリアルのハイブリッド型コミュニティ「umineco(うみねこ)」
そうした中、「移住者同士で何か交流したり、情報交換をしたりすることができるものが何かできないか」という想いで、2023年6月に発足したのが「沼津移住者コミュニティumineco(うみねこ)」です。

筆者も昨年8月から参加させていただいているこちらのコミュニティは、インターネットとリアルワールドのハイブリッド型の交流を目的としたコミュニティになっています。インターネットの方では、チャットなどを楽しむことができるコミュニケーションサービス「Discord」を用い、リアルワールドの方では、ほぼ月に一度程度のオフ会(飲み会等)を中心に、参加者同士で交流を深めています。
3.具体的にどんなものなの?
①どんな人が参加しているの?
「沼津移住者コミュニティ」を銘打っているだけあって、参加している人で目立つのは、「沼津に移住してきた人」です。その大多数は、筆者のような「ラブライブ!サンシャイン!!がきっかけとなって沼津に移住してきた人」ですが、それ以外の理由で沼津に移り住んできた人も参加しています。また、「沼津に移住したが、仕事などの都合で今は沼津を離れている」という人や沼津市出身という人のほか、沼津市周辺の自治体に住んでいる人も参加しています。
「将来的に沼津へ移住することを検討している人」も、こちらのコミュニティに参加しています。Discordのサーバー上では、沼津への移住における疑問や不安を投稿できるスペースも設けられています。筆者が沼津へ移住するにあたっては、そちらで部屋探しなどの疑問を相談するなどしておりました。
その他、「沼津が好きな人」も、uminecoには参加しています。沼津におけるイベントや飲食店などの情報も日々多く共有されており、沼津観光の参考になりそうな情報に多くアクセスすることができます。沼津に時々訪れる人にしか見つけられないものも少なくないようで、筆者自身も、Discordのサーバーで初めて知る場所やモノが今でも多くあります。
②参加するにあたっては、何かルールがあるの?
uminecoの中には、それほど厳格なルールはありません。ラブライバーでなければいけないとか、Aqours最推しでなければいけないとか、あるいは集まりには必ず顔を出さなければならないなどといった決まりは一切ありません。
とはいえ、コミュニティとして最低限守るべきルールはいくつか存在します。一番重要なのは「相手を尊重すること」。様々なバックグラウンドを持つメンバーがいる中で、差別的あるいは攻撃的な発言をしてはいけないというものです。その他、「公序良俗に反する投稿や荒らし行為、スパムはしない」、「個人情報を開示しない」など、インターネットやリアルの空間においてそれだけはやってはいけないというところさえ触れなければ、特段特殊なルールはありません。
4.どんなことをやっているの?
①Discordでは困りごとの相談から雑談まで幅広く!
日常的にはメインの活動の場となるDiscordでは、沼津での生活やレジャーなどの幅広い分野の相談から雑談まで、幅広いテーマの投稿が日々流れてきます。テーマごとにチャンネルが分かれており、追いたい話題や知りたい情報にアクセスしやすいというのが特徴です。
沼津という街にほぼ特化したコミュニティながら、その中には様々なメンバーがいます。それ故に、日々扱われる話題も幅広くなっています。私自身、沼津の飲食店でもこちらで初めて知るというお店が未だに少なくないほか、沼津市のご当地VTuber「西浦めめ」の存在も、uminecoで初めて知った次第です。そちらもまた、様々な切り口で沼津の街に接している人が集まっているが故の特徴といえるでしょう。
②リアルでは飲み会から山登りまで!
リアルイベントにはいくつかあります。頻繁に開かれているのは「オフ会/飲み会
である「うみねこ会」です。主に沼津駅周辺の居酒屋が会場となることが多いのですが、夏場は御用邸記念公園でのバーベキューになることもあります。飲み会という性格も強いイベントではありますが、一番の目的は参加者同士の対面コミュニケーションの活発化というところです。沼津で暮らしている人、沼津出身の人、沼津への移住を検討している人など、様々な人同士で、沼津にまつわる話題で盛り上がります。
SMOKEさんにて沼津への移住者を中心としたコミュニティ「うみねこ(@umineco_nmz )」のオフ会を開催させていただきました。いつ来ても料理が美味しいお店で、沼津のバー文化に触れられた会でした。SMOKEさん並びに参加各位、ありがとうございました! https://t.co/Hvt7PUskLU pic.twitter.com/LHQRqo9aPL
— ぷらむ@沼津移住民 (@417plum) 2023年11月25日
企画段階で少し関わらせていただきました。昨年11月以来、半年ぶりとなるSMOKEさん(@PublicBarSmoke )での集まりでした。参加者同士の会話も含め、沼津の様々な切り口での見方、楽しみ方を感じられる機会になりました。 https://t.co/GahzZne5re
— ぷらむ@沼津移住民 (@417plum) 2024年5月27日
筆者自身も大変僭越ながら、運営の中心メンバーではないものの、うみねこ会の幹事を2回ほど務めさせていただいたことがあります。いずれの回も大手町の「Public Bar SMOKE」さんにて、「バーの街・沼津」の雰囲気を参加者に感じてもらうべく企画しました。
その他、沼津市南部に広がる「沼津アルプス」を登る会など、様々な活動が不定期で開催されています。こちらも「今まで知りえなかった沼津の楽しみ方を知る機会」として、色んなメンバーが企画しています。
③花火大会に協賛したことも!
また、目立った活動としては、「沼津市内で開催される花火大会への協賛」も挙げられます。
発足後に初めて協賛したのが、昨年12月23日に開催された「奥駿河湾海上花火大会」でした。2022年に一度その歴史に幕を下ろした花火大会でしたが、昨年の年末に復活。そちらに協賛しました。
5.交流を深めて悩みも楽しみも共有しつつ、一人ではできないことも!
たとえ馴染みの土地であっても、遊びに行くのと住むのとでは、勝手がかなり違うのではないかと考えます。また、住み慣れてはいない土地に引っ越すとなると、やはり孤独感を強く感じるという方も少なくないかもしれません。
uminecoをはじめとした移住者を中心としたコミュニティは、様々なものが沼津周辺にも複数あるようです。そうしたコミュニティにおいて、沼津における人間関係を構築するだけではなく、沼津で生活する上での悩みも相談し、共有するというのは、多くの人にとって沼津での生活を充実させる1つの解決策となりうるのではないかと考えます。また、沼津への移住を検討している人や、沼津を観光して楽しみたいという方についても、情報収集ツールとして、インターネットとリアルのハイブリッド型のコミュニティを活用するというのが、有効なのではないかと筆者は考えます。
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今月16日には、仲見世商店街にあるバー「ねこと白鳥」さんにて、1周年イベントを開催する予定です。参加者だけではなく、非メンバーの方も参加することができます。様々な催しのほか、移住や観光に関する様々な情報交換もできる機会となります。詳細はホームページに掲載されていますので、そちらをご確認ください。
▼(過去記事)「沼津でどう暮らすか?」というのを振り返った記事です(2024年2月公開)
*1:静岡新聞 2024年5月11日 沼津、移住堅調 定住促進へ 市、官民でネットワーク構築 https://www.at-s.com/news/article/shizuoka/1468215.html 2024年5月15日閲覧
*2:静岡新聞 2024年5月11日 沼津、移住堅調 定住促進へ 市、官民でネットワーク構築 https://www.at-s.com/news/article/shizuoka/1468215.html 2024年5月15日閲覧