【鉄道高架化現地調査】来年着工予定!沼津の「新車両基地予定地」ってどんなところ?

10年以上ストップしていた沼津駅近鉄道高架化事業ですが、去る10月23日に新貨物ターミナルの施設工事が始まり、2041年度末の完成に向けてついに動き出しました。

plumroom-0417.hatenablog.com

news.yahoo.co.jp

www.asahi.com

完成まではあと20年近く要する見込みですが、貨物駅の移転は事業の第1ステップに位置付けられているものになります。貨物駅の移転工事が完了したのち、沼津駅の東側に位置する車両基地も移転し、メインとなる沼津駅付近の東海道線御殿場線の高架化工事が本格化する見込みです。

貨物駅移転に次ぐ第2ステップとなるのが、車両基地の移設工事です。沼津駅に隣接する車両基地とは、沼津運輸区の留置線のことを指します。東海道線御殿場線に挟まれた場所に広がる沼津の車両基地は、両線で運用されている211系・313系373系などが留置されているほか、東京方面から直通してくるJR東日本E231系E233系などが停まっていることもあります。かつては沼津機関区として、機関車のほか御殿場線身延線で運用されていた電車なども配置されていましたが、国鉄民営化やそれに伴う車両基地機能の再編などにより、沼津運輸区となった今では沼津に配置される車両はおらず、もっぱら折り返し電車の整備や留置、また終電後の夜間留置に用いられる場所となっています。

高架化後の沼津駅も、静岡県東部における地域の鉄道輸送の拠点となる予定であり、沼津には引き続き車両基地が所在することになります。しかしながら、ある程度の面積がある車両基地をそのまま高架化すると費用もかさんでしまうほか、現在の車両基地と高架化された沼津駅とを線路でつなごうとすると、線路の勾配が急になってしまうことなども考えられます。そのため、高架化に合わせて、車両基地沼津駅片浜駅間への移設することが予定されています。

f:id:plum_0417:20231106230630j:image
f:id:plum_0417:20231106230653j:image
f:id:plum_0417:20231106230623j:image
f:id:plum_0417:20231106230642j:image

車両基地の移設予定地も、新貨物駅同様にすでに用地が確保され、広大な空き地になっています。線路や周辺の道路からもよく見える巨大な看板が立っているのが、新貨物駅予定地との違いでしょうか。北側は小さな工場が並ぶ工業地帯となっており、そうした土地柄も踏まえてこちらが車両基地の移設先として選ばれたのでしょうか。

www.city.numazu.shizuoka.jp

この付近には踏切が3か所ありますが、車両基地の整備に合わせ、いずれも除却されます。代替手段として歩道橋などが整備され、線路の南北を行き来するルートは維持されます。また、新車両基地の西端に位置する踏切については拡張がなされることになっており、現在は自動車が通行できないものが、すれ違いもできるようになるそうです。

また、車両基地を南北方向に横断するような形で、アンダーパスも建設されることになっています。海沿いを走る千本街道から旧東海道と交差し、国道1号ららぽーと沼津の方向に向かって伸びる道路になる見込みです。片浜地区周辺では南北方向の道路があまり整備されておらず、またららぽーと沼津周辺では、特に休日にもなると道路の混雑が常態化しており、周辺地域の道路状況の改善にも直結しうる道路とも言えそうです。

www.at-s.com

www.city.numazu.shizuoka.jp

新しい車両基地は2024年度中にも着工する予定となっています。すでに工事が始まった新貨物駅に並行して工事が進められ、高架本体の工事に向けた準備が進められます。また、東海道線御殿場線の高架本体についても、2026年度には工事が始まる見込みです。東海道線上り、御殿場線東海道線下りの順に高架線に切り替えられ、2040(令和22)年度には鉄道の高架化が完了し、2041年度末をもって周辺道路の整備を含めた一連の事業が完成するという流れです。

完成こそとてつもなく先の話のように見える事業ではありますが、とはいえ沼津のあちらこちらにて、進み方としてはかなり少しずつではあれど、しかし着実に進みつつあることも事実です。莫大な予算を理由に今なお反対の声が大きいようですが、鉄道の高架化を受けてアップデートされる街に関しては、沼津の街に新たな形の活力をもたらすという意味においても、未来に残る資産となりうることも間違いないはずです。気力と体力の続く限り、変遷を追っていきたいと考えています。