【乗ってみた】臨時急行ラブライブ!サンシャイン!!号(浜松~沼津間) シンプルな素材でめちゃくちゃ魅せてくる列車

2023年6月18日、東海道線浜松~沼津間にて、臨時急行列車「ラブライブ!サンシャイン!!」号が2本運転されました。駅や車内、沿線が多くの方でにぎわい、大変楽しい列車となりました。当方乗車できる機会を得ましたたため、雑感をまとめていこうかと考えています。

運行の経緯としては、2023年3月に始まった「沼津ゲキ推しキャンペーン!」の一環として、同日に「さわやかウォーキング*1」が沼津駅から沼津港周辺にて開催されることになったのが始まりでした。そのイベントに合わせた臨時列車として運行が決定したのが、今回の臨時急行列車でした。

f:id:plum_0417:20230619002816j:image

使用車両はJR東海373系特急型電車。普段は特急ふじかわ(東海道線身延線、静岡~富士~甲府)や伊那路飯田線豊橋~飯田)、静岡県内のホームライナーや一部の普通列車として走っています。かつては特急東海や夜行快速ムーンライトながら、朝晩の普通列車などで、JR東日本の管内に入り東京駅にも乗り入れていた車両です。

plumroom-0417.hatenablog.com

当初は1本のみの運行予定でした。発売開始前日にアナウンスされ、「あのJR東海がここまでやるのか!」という話題性から、一気に注目が集まりました。

ところが、発売当日にトラブルが発生します。列車の指定席券の販売方法について、駅や旅行会社の窓口のほか、えきねっとJR東日本)やe5489(JR西日本)など、他のJRのネット予約サービスでも購入できるとアナウンスされましたが、発売方法の設定ミスにより、それらの予約サイト上で列車が表示されないという事象が起きてしまいました。営業面でのトラブルがほとんどないJR東海にあって、そんなことがあり得るのかということで、Twitterなどでもちょっとした話題になりました。

そこから話が大きく動き出したのが当日の夜、発売開始から半日も経っていない時間です。ネット予約で購入できると案内したにもかかわらず、設定ミスにより購入できなかったことを謝罪するプレスリリースが、その日の夜のうちに配信されました。そのプレスリリースにおいて、救済措置として座席の追加販売を行うという旨が記載されていました。追加販売と聞いて、6両編成から9両編成に増結されるのではというような憶測もあり、373系が久しぶりに9両で走行する姿が見られるのではないかとのことで、ラブライブのファン以外にも注目されましたが、臨時急行ラブライブ!サンシャイン!!2号が3両編成で運行されるということに落ち着きました。

筆者が乗車したのは追加運行の2号。在来線と新幹線を乗り継いで浜松駅に着くと、ホーム上には多くの鉄道ファンやラブライバーがいました。というのは想定の範囲内で、静岡県警の警官がホームに複数立っていました。昨今の鉄道関係のトラブルを警戒してか、途中駅や沿線、車内も含め、警官の方が多く配置されていたそうです。
f:id:plum_0417:20230619002854j:image

入線してきた列車には、ステッカータイプのヘッドマークが付けられていました。てっきり「臨時」等の表示かと思っていたのですが、この点はちょっと意外でした。

f:id:plum_0417:20230619002914j:image
f:id:plum_0417:20230619002918j:image

いざ乗り込もうとすると、車両のデッキからすでに特別仕様でした。入ってすぐのところからすでにステッカーがお出迎え。普段は普通の列車として走っていて、おそらく前日や翌日もホームライナーや特急列車として走るはずなのですが、ここまでやっちゃうんだと思ったのが正直なところです。

f:id:plum_0417:20230619002947j:image
f:id:plum_0417:20230619002943j:image
f:id:plum_0417:20230619002940j:image

客室内も見て楽しめる空間になっていました。窓にステッカーが貼られていたほか、座席背面上部のヘッドカバーにイラストが描かれていました。イラスト入りの限定ヘッドカバーがあり、それが乗車記念品として持ち帰ることができるというのは、他の同様の臨時列車にもあるようですが、初めて乗るとかなりのサプライズ感を感じるものです。

走り出してからのメインイベントは、Aqoursキャラクターによる限定車内アナウンスでした。各駅の発車後や到着前のほか、停車駅間でも各種案内で流れていました。旅行商品としての列車だと、それに特化した内容のアナウンスとなるはずですが、あくまで臨時急行列車であるため、各駅での乗換案内のほか、JR東海でよく聞く「ドアから手を離してお待ちください。」というアナウンスも流れました。

f:id:plum_0417:20230619003016j:image

それ以外にも車内で驚かされたのが「セミコンパートメント部の装飾」でした。特殊な構造ゆえ、こちらの座席は発売されませんでしたが、記念撮影ができるスペースとして演出されていました。荷棚の上に寝そべりぬいぐるみが置かれていたり、フリップやボードなども準備されているなど、手作り感はあれどオタク心をくすぐられる演出がなされていました。まさかここまでやっているとは思わず、ひたすら感心しきりでした。

f:id:plum_0417:20230619003056j:image

列車は途中掛川駅と静岡駅に停車。ほぼ各駅停車しかない静岡県内の東海道線を、かなりのペースで快走していきました。朝晩のホームライナーでは同じような通過の仕方ができますが、昼間に駅を通過するというのはなかなかできない経験です。

f:id:plum_0417:20230619003437j:image

列車は約2時間で沼津駅に到着。撮影せんとする乗客などでごった返していました。ただし、見た限りでは大きな混乱はなく、乗客を降ろした列車は、そのまま車庫に入っていきました。

発売日のトラブルも相まってかなり注目度の高い列車となりましたが、それ以外に目立った混乱もなく、2本とも無事に完走しました。各々車窓を眺めたり、放送を録音したり、写真撮影をしたりと、思い思いの楽しみ方をしているという印象を受けました。乗客側の立場としてみると、この臨時列車は大成功であったように感じています。

それ以上に強調したいのは、列車の運行に携わったJR東海などの関係者の方々が、全力で準備にあたってきたのだろうということです。特に急遽増発が決まった際には、そのための車両や人員の確保やラッピングの部材の手配、駅等での案内など、短納期で対応しなければならないことがいっぱいあったはずです。それらをカバーし、当日大盛況のうちに成功させたということには、敬意を表さざるを得ません。

3月に始まった沼津ゲキ推しキャンペーンも、残り2か月ほどとなりましたが、今後も様々な企画で楽しませていただけるはずです。この力の入れようから、今後の企画への期待に胸を膨らませながら、筆を置きたいと思います。沼津もまだまだアツい街ですね。

チケットは1分足らずで完売!JR東海が本気を出した『ラブライブ!サンシャイン!!』号 “ファンの想い”乗せて沼津へ | SBS NEWS | 静岡放送 | 静岡県内ニュース・天気

​臨時急行も運行『ラブライブ!サンシャイン!!』ゆかりの地をめぐる“さわやかウォーキング”に3000人以上 “輝き”増す沼津のまち|静岡新聞アットエス

臨時急行“ラブライブ!サンシャイン!!号”運転|鉄道ニュース|2023年6月19日掲載|鉄道ファン・railf.jp

「ラブライブ!」列車に興奮 沼津駅にぎわう|あなたの静岡新聞

*1:JR東海が各地で開催しているイベントで、駅を起終点としてその周辺地域を散策するイベント