今や首都圏を走る定期特急列車で、唯一国鉄型車両が運用される列車となった「踊り子」ですが、周知の通り、E353系投入に伴い中央線特急から撤退したE257系0番台の大半の車両*1が、2000番台へと改造*2の上、「踊り子」などに運用される185系を置き換えることになっています。
中央線からの転属組は9両編成となり*3、現行の185系10両編成の置き換え用、すなわち伊豆急下田行きの「踊り子」向けとなるようです。
一方、185系5両編成、つまりは修善寺行きの踊り子向けの車両に関しては、今のところ動きがなく、一部では廃止を心配する声が聞かれていました。
原木に真新しい変電設備が出来てたし、E257も問題なく入れるようになったのかなと pic.twitter.com/x0hH3CK2e2
— ぷらむ (@417plum) 2019年8月21日
「シリコン整流器」「直流遮流器盤」「負極盤」などなど、まあ色々なものが付いているようで pic.twitter.com/iH5X4nlCd4
— ぷらむ (@417plum) 2019年8月21日
そんな中、駿豆線内では、E257系乗り入れに向けたものと思われる準備が行われていました。6月23日に撮影した写真ですが、原木駅構内に、真新しい変電設備が設けてありました。線路の横の空き地に、様々な機器の箱が並んでいました。
どんな機器があるのか、文字を確認できる範囲で見てみると
・「シリコン整流器」
・「直流遮断器盤」「負極盤」
・「受電盤」「所内変圧器盤」「受電遮断器盤」「進相用コンデンサ盤」「信号(?)高圧盤*4
後は、以下のの2つの機器が設置してありました。
こうした設備について詳しい知り合い曰く、「回生電力の回収設備なのではないか」ということでした。現時点では、駿豆線の変電所が回生ブレーキに対応できていないようで、将来的な回生ブレーキ付きの電車の入線に対応するための工事ということなのでしょう。また、VVVFインバータ制御・交流電動機搭載車の、「ピーク時の消費電力量が瞬間的に(抵抗制御・直流電動機搭載車と比べて)かなり多くなる」という特性に合わせた改修とも言えましょう。185系以外の、伊豆箱根鉄道所有の1300・3000・7000系も、確かに回生ブレーキ未整備・抵抗制御・直流電動機搭載車両です。この設備の設置が、VVVFインバータ制御を採用し、回生ブレーキを備えたE257系の入線を見据えたものと判断することもできます。
ただ、必ずしもE257系のためだけのものともいえなさそうなのが、今回の原木駅の変電設備です。伊豆箱根鉄道の所有車両のうち、元西武鉄道101系の1300系や自社設計車の3000系のうち初期に製造された鋼製車*5は、製造から早くも40年近くが経とうとしており、そろそろ置き換え時期に差し掛かりつつあります。置き換え用の車両が仮に中古車であっても、置き換えたのち長期にわたっての運用が可能な車両のほとんどは、すでに回生ブレーキを備えた車両であり、入線させるにあたって、地上設備側の対応工事は必要な物でしょう。「踊り子」のE257系化後の修善寺編成の存続を、ここだけを見て判断できるとは言えなさそうなところです。
— ぷらむ (@417plum) 2019年8月21日
もっとも、8月21日発売の雑誌「Jトレイン」に、修善寺編成には5両編成の房総特急向けの500番台が転用される予定*6というような記載があったとのことです。現状でも自由席であれば一定の乗車率であるわけですから、なくす理由は特にないかと考えます。
ところで、185系が引退した後、同車が充当される臨時の夜行快速「ムーンライトながら」がどうなるのかということも話題になりました。「熱海~三島間のJR東海管轄の区間を通るから、JR東海の乗務員もE257系を扱えるようになるはずであるし、E257系化の上で残るのでは」というのが大多数の見方であり、おそらくそうなるであろうと思います。今や大変貴重な存在となった夜行列車ですから、車両は変われど永く走り続けてほしいものです。
今回はここまでです。お読みいただきありがとうございました。
185系に最近乗った時の様子
写真は筆者撮影