【乗ってみた】ホンダ・N-ONE(Original) ゆるい見た目も中身はしっかり、普通車越えの軽

今回はまた車の話。それもまたホンダ車です。別にホンダという自動車メーカーが特段好きというわけではないのですが、気になって乗ってみたのが今回もホンダ車でした。

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タイトルの通り、ホンダの軽自動車「N-ONE」に乗ってみました。

www.honda.co.jp

N-ONEはセミトールワゴンかもしくはセダンタイプに分類される軽乗用車。2011年にN-BOXから展開が始まった「Nシリーズ」の第2弾として2012年に初代モデルが登場。1967年に発売されたホンダ初の市販軽乗用車「N360」をモチーフにした車で、どこかクラシカルで親しみやすい雰囲気のデザインと小さい車体でありながら広い車内空間を確保した設計などが特徴です。

現在販売されているのは2020年発売の2代目モデル。外装パネルを初代モデルから流用しつつ、フロントバンパー等細部の意匠を少し変更。悪く言えば「変わり映えがしなくて初代との違いが判らない」のですが、フルモデルチェンジを経てもキープコンセプトとして同系統のデザインを採用したことにより、「N-ONEらしさ」を確立させようとしているように感じます。その手の考え、国産車では珍しいものの、輸入車には多く見られます。昔の車のリバイバル版としてはフォルクスワーゲンニュービートルフィアット500などが挙げられますが、例えばフォルクスワーゲン・ゴルフは、最新世代の8代目を含めて、全体的なフォルムやフロントマスクの意匠が、初代モデルの雰囲気を残したものになっています。

カニズムはほかのNシリーズとほぼ同じ。運転支援システムのホンダセンシングや停止保持機能付きの電動パーキングブレーキなどを備えています。エンジンもほかの車種と同じ最新世代のS07B型を搭載し、自然吸気仕様とターボ仕様の2種類を設定。前者にはホンダの軽自動車としては初となるi-VTEC*1を採用しています。足回りの設計は、前後のサスペンションの形式はほかのNシリーズ同様、前がマクファーソン式に後はFF車が車軸式と4WD車はド・ディオン式を採用していますが、前後共にスタビライザーが備わっていることが特長です。

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ダッシュボードのデザインは、シンプルではあれど安っぽさは感じないもの。白いパネルがアクセントになっています。メーター周りは白地で、軽自動車ではないことも珍しくないタコメーターもついています。7000rpm以上まで回るのは、さすがVTECと言えるところ。小さくN-ONEのシルエットが描かれているのがおしゃれでいいですね。

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充電用のUSBポートはシフトレバー下に3口。そのうち1つはナビとの接続にも対応しているようです。ただ、その機能が使えるかどうかはナビの機種によるらしく、今回乗った車では試すことができませんでした。前席周りのドリンクホルダーは運転席と助手席の間に1つと、ハンドルの右側に1つ。取りやすい位置にある上、大きさも実用的です。

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シートの作りはしっかりしていて、座面もヘッドレストが別につけられているなど、安っぽさは感じません。後部座席はやや簡素な造りになっていましたが、それでもヘッドレストは別になっていて、広さも十分。ヤリスやMAZDA2よりも室内の居住性は高そうです。

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荷室の容量はそこそこ。スーツケースは厳しそうですが、小さめの旅行用のカバンなら3~4つくらいは何とか積めそうな感じです。5:5で分割して倒せる作りになっており、長いものを積むこともできなくはないでしょう。ほかにも、先日のフィットのように、後部座席の座面を跳ね上げられるようになっていたり、後部座席を倒した時に座面が沈み込むので荷室の段差がほぼないなど、積載性はこの車の見かけ以上に優れています。

横浜市港北区内を出発し、東名高速の横浜青葉インターを目指します。今回乗ったのは一番安い「Original」というグレード。エンジンも自然吸気仕様です。動力性能には期待していなかったものの、意外にもしっかり加速してくれるという点に好感をもてました。一般道ならエンジンが過度に唸ることもなく、軽自動車であることをまず感じさせないようでした。

横浜青葉インターで乗った東名高速は土曜の朝らしく綾瀬バス停付近を先頭に渋滞。そんなところで体力も集中力も使い切っちゃつまらないので、ホンダセンシングのアダプティブクルーズコントロール(ACC)を使うことに。完全自動運転とまでは行かないものの、前車との間隔を保ちつつ速度を自動で制御してくれる機能は、渋滞時を含め高速道路では大変ありがたい機能ですね。今やメーカー各社が採用している機能ですが、その性能には大きな差があります。ホンダのACCは制御が巧いと思っていて、速度のコントロールも急な感じが全くなく、またステアリングアシストの介入も自然なところに好感が持てます。

厚木インターを過ぎたあたりで渋滞はほぼ解消。伊勢原ジャンクションを通過するとどんどん山の中に入っていきます。パワーの無い軽自動車では苦しそうな区間ですが、意外にも力不足な感じはせず、余裕を持って走ることができました。自然吸気仕様のエンジンでも最高出力58ps/7300rpmと最大トルク6.6kgf•m(65N•m)/4800rpmというスペックであり、ターボのない軽自動車としてはかなりパワフルな部類に入ります。スペック通りの走りを見せてくれました。

御殿場ジャンクションから先も引き続き東名高速道路へ。新東名高速道路に入ってみるのも考えてはみたものの、そこまでやる勇気はなく。ただし、追越車線に出ない限りでは新東名だって普通に巡航できたはずだと想像できるような乗り味でした。しかし、新東名ではなくても、皆さん結構飛ばすんですね…。

沼津インターで高速を降りて沼津市街方面に向かうところ、信号待ちも多々ありましたが、ブレーキホールドが付いているのでフル活用していくことに。普通車にも言えることですが、ホンダのブレーキホールド機能は発進時の挙動も自然で積極的に使いたくなるもの。各社が高級車から軽自動車まで採用している機能ですが、動作時の感覚は千差万別。この点トヨタは発進時の挙動がやや不自然です。ブレーキホールドとほぼ連動する形のアイドリングストップ機構も備えていますが、そちらも再始動時の振動が目立つこともなく、相当気を遣って作られてのかなと感じた次第です。

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さわやかで昼食の後、内浦・西浦方面へ。流れの悪い国道414号線を抜けて県道17号に入ると、この車の本領発揮。適度にカーブがあり狭すぎることもない郊外路というのが、N-ONE Originalには一番向いているのかなと感じました。前述の通りN-ONEは足回りにも相当凝っていて、前後輪共にスタビライザーを装着しています。それが効いているのか、操舵性や挙動に対して不安を感じることが全くありませんでした。

山間部に入ってもそれは変わらず。よほど急峻な道でない限りは、この車で適度に楽しめるだろうという印象をもてました。ただし気になったのがエンジンブレーキの利かせ方で、Dレンジの下にSレンジしかありませんでした。ターボ車にはパドルシフトも備わりますが、今回乗ったOriginalにはついておらず。よほどのことがない限り起きないのかもしれまでんが、下り坂はフェードしないか気にしながら通っていました。

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くるら戸田で温泉に入ったり、沼津市街まで戻って欧蘭陀館で一休みしてから帰路へ。東名が混む前にと思っていたものの、御殿場で新東名と合流した先から混み始め、神奈川県内では渋滞も始まっていました。こんなシチュエーションこそACCの出番。渋滞でもしっかり機能してくれたので、アクセルやブレーキの操作をほぼせず。ハンドル操作と指先でのスイッチ類の操作だけで渋滞を通過できました。10年前はスバルのアイサイトしかなかったものが、今や軽自動車でも当たり前の装備になりましたね。

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300㎞近く走って返却直前に給油した時点での燃費は21.0㎞/L。WLTCモードで23.0㎞/Lのカタログ燃費を越えてはいないものの、その数値にかなり迫る結果になりました。一方、満タンの状態からこれだけ走って給油量は12.17Lで、そこから出した燃費は24.0㎞/Lでした。出発時にトリップメーターをリセットしていなかったため、走行距離は正確な数値ではないかもしれませんが、それにしても燃費が相当良いことは事実。ちなみに特段エコドライブを心がけていたということは決してなかったことも付け加えておきます。

ターボのついていない軽自動車とはどんなものなのかと思って乗りましたが、想像していた以上の乗り味に驚いたというのが第一です。N-ONEは軽自動車でも相当高価な部類に入り、今回乗ったOriginalだって、N-ONEの4つのグレードの中では一番安価ではありますが、オプションを色々つけていくとあっという間に総額200万円が見えてくるようです。そんな価格だと普通車だって買えそうにも思えますが、小回りが利いて維持費も安いという軽自動車ならではの特長に加え、必要十分な使い勝手の良さを備えていたり、愛嬌のあるデザインだったり、そして乗り味だって決して安っぽさを感じないというのは、普通車にも決して引けを取らない出来になっていると感じました。軽自動車故にロングツーリングには向かないかもしれませんが、通勤や買い物等の普段の足や今回のような土日のちょっとしたお出かけ程度であれば、この車で十分こなせるはずです。

 

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*1:ホンダ車に採用されている高知能型の可変バルブタイミング・リフト機構のこと。