【乗ってみた】マツダ・CX-5 サイズは立派でもしっかり「人馬一体」 クリーンディーゼルが滑らかなSUV

Twitterでもぼちぼち話題としている通り、ボディタイプで見たときに一番好きな車の種類はセダンです。実家の車がずっとセダンだったというところの影響も大きいのですが、「より実用的な後部座席とラゲッジスペースを備えた4ドアクーペ」と捉えると、セダンとは決して悪くない形なのではと思う次第なのです。現行の車種ではトヨタ・カムリやMAZDA6、スバル・WRX S4あたりが好例として挙げられると思われます。

ただ世界的にはセダンの人気は年々低下しているようです。特に日本ではセダンの地位低下がここ数年だけを見ても顕著と言えるはず。トヨタ・クラウンが16代目にしてセダン以外にラインアップを広げただけではなく、日産はスカイライン以外のセダンを日本市場から撤退させ、スバルはレガシィのセダンを日本にて販売しない上、インプレッサの次期モデルにはセダンをラインナップしない方向で動いている模様。ホンダ、三菱、スズキに至っては現時点で新車として購入可能なセダンが1車種もない状況。将来買いたいと考えていても、ショッピングリストに載せる候補は年々減る一方です。

そんな時代に「これでも悪くないな?」と思っているのが「クロスオーバーSUV」と呼ばれるジャンルの車。ざっくり言えば、普通のハッチバックやワゴンなどの乗用車をベースに地上高を高めたような車です。高い走破性を持っていそうなデザインで使い勝手や乗り心地はほぼ乗用車感覚。世界的に流行っているものとされており、各社ともにラインナップが充実しています。日本の自動車メーカーも、軽自動車から高級車まで、「クロスオーバーSUV」とされる車を幅広くそろえています。

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先日乗ったマツダ・CX-30はその例。MAZDA3をベースにした、狭い道が多い日本でも扱いやすいサイズのクロスオーバーSUVです。同じクラスにはトヨタ・カローラクロスなどもいて、いわば激戦区の一角というような車です。マツダらしく凝ったデザインの内装や「人馬一体」という言葉で表されるような心地よい走りがこの車の特長と言えるはず。

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次いで今回乗ってみたのが同じくマツダCX-5。CX-30よりも一回り大きいSUVです。マツダの新世代技術「SKYACTIV TECHNOLOGY(スカイアクティブ・テクノロジー)」を初めて全面的に採用した車として2012年に初代モデルが発売。低燃費と高トルクを両立し、厳しい排ガス規制もクリアしたクリーンディーゼルエンジンが話題になり、一躍人気車種になりました。現行モデルは2017年に発売された2代目です。今年ですでに5年が経ちますが、毎年のように商品改良が重ねられているほか、昨年には大幅な改良もなされており、今なおマツダの主幹車種として位置づけられる車です。ちなみにマツダは、このCX-5に限らず、ほぼ全ての車種で毎年のように商品改良を実施しており、そのため発売からかなりの時間が経った車種でも古臭さをそこまで感じないという特徴があります。現にMAZDA2は今年で発売から8年が経過しますが*1、性能面でのアップデートや内外装の変更、特別仕様車の投入などで商品力は未だに高く維持されているように見えます。

今回乗ったのは大幅改良前の前期型。その為、内外装のデザインには現在販売されているモデルとは若干の違いがあります。ただ、外装に関して言えば、今のモデルと大幅に変わらずマツダの「鼓動」デザインの系統であり、内装もナビのサイズを除けばさして古臭さを感じないものです。

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現行世代のマツダ車らしく、ナビはタッチパネルではなくシフトレバー近くのスイッチで操作するタイプ。慣れれば大して苦ではないのかもしれませんが、使い慣れていないと目的地の設定などに一苦労するもの。ただAppleCarPlayなどにも対応しており、スマホを接続することによりGoogleマップ等のナビアプリを使うことも可能であるため、ナビの操作性の問題はそれで粗方片付きそうに思えます。スマホをナビにつなげるためのUSBポートはセンターコンソールの中にありました。

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このクラスのSUVらしく、ラゲッジスペースは広々としています。そこまで大きくないスーツケースなら3つか4つくらい楽勝で収まりそうな広さです。アウトドア用品やショッピングモールでまとめ買いしたものなども余裕で収まりそうに見えます。細かく統計を取ったわけではないため断言はできないものの、街中で見かけるマツダ車の相当な割合がCX-5であるように感じますが、デザインや性能だけではなく使い勝手もよいというところで選ばれる車なのかもしれないと感じました。

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後部座席のスペースも十分な広さが確保されています。後部座席にはドリンクホルダー付きのセンターアームレストが備わっており、その中には後席用のUSBポートが2口備わっています。また、後部座席の足元にもエアコンの吹き出し口があり、乗員全員の快適性が考えられた車であることも伝わってきます。

今回は沼津で車を借りて静岡県内にてドライブです。走り出した直後から感じられたのはディーゼルエンジンならではの太いトルクによる余裕のある加速。大柄な車体ながら決して重苦しさを感じず、低速域からスムーズに加速していくのは、さすがディーゼルと言った感じ。それでいてディーゼルエンジン特有のノイズや振動はあまり感じられませんでした。感覚としては普通のガソリンの直噴エンジンと同じくらいか、強いて言えばほんの少しにぎやかかもしれないといった程度でした。この時の燃費計の数値は11~13㎞/L程度。街中でも意外と伸びるという印象を受けました。

長泉沼津ICから新東名に入り今回は西へ進みます。ディーゼルらしく高速巡行で燃費が一気に伸びました。ディーゼルエンジンは比較的高めの速度域で巡行するのが得意であるとされており、欧州で長らく人気だったのもおそらくそういった特性によるものであると思われます。その特性が如実に表れた形です。また、全高や地上高が高いSUVでありながら、高速域でもフットワークは安定しており、シャシーの面でネガティブな点はありませんでした。不快な振動もほとんどなく、高速道路を快適にクルージングできるSUVであると認識。欧州市場で高い評価を受けているマツダらしく、かの地で重視される性能には抜かりないと感じた次第です。

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静岡県中部のさわやかまで走らせ、昼食の後沼津方面まで戻りつつ、伊豆縦貫道と伊豆中央道国道414号などを通って内浦へ。いつもの海沿いの道も快適に走り抜けられるフットワークでした。下手な車だと不快なロールが出て仕方のない道なのですが、そうした様子は全くありませんでした。

西浦から真城峠を経由して戸田までのワインディングを通ってみましたが、そこでもシャシーへの好印象はほぼ変わらず。腰の高いSUVとは思えないフットワークでした。ロードスターを筆頭に、車作りに「人馬一体」を掲げているマツダですが、その思想は比較的大柄なSUVでもしっかり表れていました。ディーゼルエンジンながら比較的高回転まで回るエンジンなので、シーケンシャルシフトを使ったエンジンブレーキもかなり強めに使えます。

回転数が頻繁に上下するようなシチュエーションでも、エンジンの騒音や振動はあまり気になるものではありませんでした。マツダのクリーンディーゼル自体、圧縮比をディーゼルエンジンとしては低めにしているということもあるのかもしれませんが、トルクの太さを享受できる一方で、それ以外の面では普通のガソリンエンジンとほぼ変わらない感覚です。

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今回のドライブでの燃費は燃費計の数値で16.3km/Lでした。4Lガソリンエンジン並みのトルクを誇るエンジンで、エコドライブを心がけたわけではないのですが、そこそこのサイズと重量のある車にしてはかなりいい数字なのではないかと思います。そもそも普通のガソリンよりも安い軽油を使うので、経済性はかなり高いと言えます。今の時代かなり重要なポイントかもしれません。

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マツダと言えばつい先日発売されたCX-60が話題になっています。新開発のFRプラットフォームにこれまた新開発の直列6気筒ディーゼルエンジンなど、これが2022年の新型車なのかというような内容で、「海外の高級SUVに本気で太刀打ちできる車」というような評価をも集めているようです。ただ、発売から5年経つCX-5についても、機能面や性能面ではめちゃくちゃいい車であることには変わりないはずです。日本で乗るならCX-5くらいのサイズ感の方がいいはずであり、価格もこちらの方が抑えられています。CX-5ではMT車も選べるので、MT派の人にとっては選ぶまでもなくCX-5なのかもしれません。SUVらしい堂々とした見た目ながら、走らせるとしっかり「人馬一体」なマツダらしい車で、文句なしに「これ好き!」となった一台でした。

*1:改称前のデミオが2014年発売