【乗ってみた】自動運転車両「シーラカンス号」実証実験(沼津駅~沼津港間 11/23まで)

2023年11月17日から23日にかけて、沼津駅と沼津港の間にて、自動運転車両「シーラカンス号」の実証実験が行われました。

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沼津市では、街の玄関口となる沼津駅と、静岡県東部でも有数の観光地となっている沼津港の間を結ぶ交通手段の強化に向けた検討を進めています。その一環として、静岡県が進めている「しずおか自動運転ShowCASEプロジェクト」と連携し、2019(令和元)年度から公道上での実証実験を行っています。過去には、日本初の行動上での自動運転と交差点におけるバス優先信号制御を組みあわせた実験が行われました。4回目となる今年は、特定の条件下でのすべての運転操作が自動化される自動運転レベル4を想定した実験となったほか、信号と自動運転車両を連携させて、交差点への接近・通過時に車両へ信号の色や残り時間を通知することによって、自動運転車両が交差点を安全に通過できるかという検証が行われました。

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使用されていたのはこちらの車両。電動ゴルフカートを改造した車両とのことで、乗車定員は6名。幅が細く見えますが、運行補助者などを合わせて8名が乗車できるように改造したため、全長が長くなったらしく、ナンバープレートが3から始まる普通乗用車の扱いになったようです。最高速度は19㎞/hで、沼津駅と沼津港の間で2020年3月から運航されている小型EVバス(グリーンスローモビリティ)と同じになっています。

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車体には自動運転に必要な装備が複数ついていました。カメラやレーダー、LiDAR(ライダー)などにより、周囲の状況や車両、障害物や地形などを把握し、安全かつスムーズな自動運転ができるようにしているそうです。

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LINEを介して予約をし、係員に予約番号を提示すると2台あるうちの指定された車両に案内されました。安全のためにシートベルトを着用するように促されたのち、沼津港から沼津駅に向けて発車。

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車内に設置されたモニターからは、交差点を曲がる際のハンドル操作が確認できるようになっていました。まだまだ開発段階にある技術であるため、複雑な形状の交差点では人の補助が必要になる場合もありましたが、沼津港の入り口ともいえる千本港町交差点等、普通の交差点では、不安に感じるような挙動は特にないまま交差点を曲がっていきました。
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さらに北上すると、交差点における信号との連携が始まりました。沼津駅~沼津港間のさんさん通りの交差点のうち、御成橋右岸側の通横町交差点より北の交差点については、交通管制センターでの遠隔操作が行われているそうで、交通量に応じて信号のタイミングを制御しているとのこと。交差点に設置された信号機の制御装置と連携し、車両が信号の色と残り時間を認識することで、安全なタイミングで交差点を通過することができるという仕組みになっています。

また、今年の実験では、沼津仲見世商店街の店舗跡にコントロールセンターを設けることで、自動運転車両の運行状況をリアルタイムに監視していました。カメラやマイクで車内や車両周辺の様子を確認し、必要に応じてバスを遠隔操作できるようになっていたほか、将来的には乗客への案内もできるようにしたいというお話でした。

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沼津駅へは15分ほどで到着。最高時速こそ普通の路線バスよりもかなり遅いものの、直線的なルートかつ途中のバス停がかなり少ないため*1乗車時間自体は大きく変わりません*2周辺車両の予期せぬ動きに対応しきれないリスクもまだあり、人の補助もちらほらありましたが、自動運転でおおむねスムーズに走行していました。

アトラクションとして乗る分には面白い乗り物のように思えましたが、日常的な移動手段として使うにはどうだろうかと感じたのも事実です。途中の停留場が少ないのであれば、もう少し早く走って所要時間が短ければ、積極的に使いたいと思うかもしれず、駅と港を結ぶバスは、休日には観光客で混雑することもあるので、小さい車体では積み残しが頻発して使い物にならないような気もしました。

とはいえ、面白い試みであることは間違いなく、実証実験ということは、結果を踏まえたアップデートをこれから重ね、良い形での本格導入となることも期待できそうです。来年以降、同じような実験があれば、また乗車したいですね。

*1:沼津港発のみ途中の上土停留所に停車。

*2:東海バスの沼津港循環で駅⇒港が10分、港⇒駅が15分、伊豆箱根バスの沼13系統で駅⇒港が14分、港⇒駅が11分、同沼12系統が途中上土バス停のみ停車で8分。