【ラブライブ!サンシャイン!!×沼津】開店から7年3か月 沼津駅南口「SUN!SUN!サンシャインCafe」が2024年2月15日をもって現在の店舗での営業を終了

1.簡単な概要

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1月27日、沼津駅南口にあるラブライブ!サンシャイン!!のコラボカフェ「SUN!SUN!サンシャインCafe」は、設備の老朽化と施設の賃貸契約満了に伴い、現在の店舗での営業を、2024年2月15日(木)の20時30分をもって終了することを、同店の公式Twitter(X)にて発表しました。

同店は、静岡県東部で飲食店などを広く展開する「雄大株式会社(本社:沼津市)」が運営する公式コラボカフェとして、2016年11月8日に開店しました。これまで約7年3か月にわたり、「ラブライブ!サンシャイン!!の舞台の街」の玄関口の目の前にて、コラボカフェとして営業しました。期間限定のお店が多いコラボカフェという形態のお店において、7年以上という営業期間はかなり異例ではありましたが、このタイミングで現在の店舗での営業を終えることとなりました。

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なお、現在の店舗での営業を一度やめるということで、完全に閉店してしまうということでもないようなこともうかがえます。同店の公式Twitter(X)では、具体的な時期や場所は示されていないものの、今後店舗の移転先を検討していくことを示しており、今後またどこかで営業を再開することも考えられます。

2.なぜこのタイミングで閉店するの?

7年以上にわたって営業が続いた「SUN!SUN!サンシャインCafe」ですが、どうしてこのタイミングで営業を終えるのかと思われた方も多いかもしれません。しかしながら、2024年春までに営業を終えるということは、昨年夏の段階で、すでにほぼわかり切っていたことでもあります。

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こちらは昨年8月にあった静岡新聞の記事です。記事によれば、コラボカフェがある土地を所有する「都市再生機構(UR)」が、2024年度から同地を「市街地のにぎわい創出の『実験広場』」として整備を始めることを決めました。沼津市も同月に開かれた「市中心市街地まちづくり戦略会議」にて、その方針を示しています。

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この場所には、かつて西武百貨店沼津店がありました。1957年に西武百貨店の地方進出第1号店として開店し、1971年には新館が増築されました。「県東部の商都」の象徴のような百貨店として、沼津市に限らず周辺市町から多くの方が訪れたそうですが、経済情勢の変化や郊外への大型ショッピングモールの進出などに伴い、1991年をピークに売り上げは減少に転じ、2013年1月末をもって閉店となりました。
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2棟あった建物のうち、南側の新館については、2014年4月11日に「沼津ラクーン」としてオープン。東海地方では初出店だった「よしもと劇場」のほか、屋上庭園では夏を中心にBBQが楽しめるなど、沼津駅南口における新たなスポットとして再スタートを切っています。屋上庭園については、「劇場版ラブライブ!サンシャイン!! The school Idol Movies Over the Rainbow」にて、劇中歌「Brightest Melody」のシーンで登場しました。

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一方で、駅に近い本館については、老朽化がより進んでいたためか、そのまま活用されることはなく解体され、2014年より東側はレンタカー店として、西側は雄大(株)が運営するビアガーデン「雄大フェスタ*1」として、それぞれ営業を開始。そして、「ラブライブ!サンシャイン!!」がスタートした翌年の2016年11月に、「SUN!SUN!サンシャインCafe」としての営業を開始しました。

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ただし、隣接するレンタカー店も含め、同地については「鉄道高架事業に関連した暫定利用」という位置づけでした。沼津駅近鉄道高架事業については、貨物駅の移転問題により、10年以上も事業に進展がなかったため、それに関連した駅周辺の再開発についても、長年にわたり停滞を余儀なくされていました。貨物駅移転に関する訴訟がほぼ終結し、昨年には貨物駅本体の工事がスタートしたことで、沼津駅周辺の中心市街地における再開発構想も再び動き出したような様子です。そうした状況を受け、西武百貨店の跡地についても、中心市街地の活性化に向けた取り組みとして、「市街地のにぎわい創出の『実験広場』」としての整備を開始することになりました。今ある店舗は2023年度末をもって契約満了となり、URが跡地を再整備。低層の建物を建てたうえで、店舗やまちづくりの拠点などを入居させたり、広場をイベントの場として活用したりすることが検討されているそうです。

3.コラボカフェに限らず、馴染みの場所がこれから消える?

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今回の「SUN!SUN!サンシャインCafe」閉店のニュースは、あわしまマリンパークの「閉園」発表から間もないタイミングで飛び込んできた話でした。馴染みの施設・お店、アニメの舞台の閉園、閉店という話が相次いだことで、一層悲観的な受け止めをされている節もあるようです。両施設に「別れ」を告げるべく沼津を訪れる人も多いようで、一連の話を深刻に受け止める人も少なくないように見受けられます。

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先述の通り、沼津駅を中心とした沼津市中心市街地では、鉄道高架事業の始動に伴う再開発計画の検討が本格化すると見られています。今年から再開発が本格化するものやこれから5年ほどの時間をかけて進めていくものなど、その状況は様々ですが、街の様子がこれから大きく変化していくことは間違いないでしょう。そもそも、長期的な視点で見れば、東海道線御殿場線の線路が高架になることで、道路のアンダーパス解消・平面化が図られたり、駅に南北自由通路が通ったりすることにより、沼津駅の開業以来100年以上にわたって南北に分かれていた街が一体化することも考えられるはずで、ともすれば街の全体的な骨格が大きく変わり、ミクロな部分とて変化が生まれると考えるのが自然であるはずです。

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それはアニメの舞台とは遠いところではなく、作中でも登場した馴染みの場所にも、この先大きく影響する話でもあります。仲見世商店街にあったマルサン書店仲見世店は、2022年5月末をもって閉店。それから2年近くたつ中、今でも建物は現存し、イベントスペースとして利用されることもありますが、数年以内には周囲の建物とともに解体され、跡地には2030年ごろをめどに複合施設が建つという計画が持ち上がっています。複合施設は地上90メートルで25〜30階建て、2階までは店舗と3階以上は住宅となる計画で、静岡県東部ではイーラdeを抜いて最大規模の高さを持つ建物になるとされています。

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また、沼津駅南口から徒歩10分ほどのアーケード名店街(町方町)では、再開発計画に伴って、今年の夏、沼津夏まつり・狩野川花火大会後ごろをめどに、今の建物の解体が始まる予定です。新しい建物は2027年夏にも完成する見込みで、地上10階建て、1階部分が店舗と、2階以上が住宅となる予定です。アーケード名店街には、劇場版に登場した駄菓子店「だいこくや」さんがありますが、再開発後も営業を続ける可能性だってあるとはいえ、アニメに出てきた姿は、今年中にも見られなくなる見込みです。なお、同商店街は2004年に景観地区「沼津市アーケード街美観地区」として都市計画決定されており、新しい建物にも今までの意匠が引き継がれる見込みとなっています。

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アニメに登場してきた風景で、今まで当たり前のように存在してきたものも、当然ながら永遠のものではなく、沼津の街の変化に合わせて、姿を大きく変えていくことが予想されます。「”聖地”がなくなると沼津からなにもなくなってしまう。」そんなことをいう人も、もしかしたらいるのかもしれません。ただ、筆者が声を大にして言いたいこととして、沼津はラブライブ!だけの街じゃなく、たとえアニメに出てきた風景が何らかの理由でなくなってしまったとしても、沼津という街の魅力がなくなってしまうということは決してないはずです。アニメだけの街であれば、テレビアニメが放送されてから5年近くが経つ間に、沼津を訪れる「ラブライバー」はいなくなっているのではないかと思いますが、アニメの舞台巡りだけではない目的をもって沼津を訪れる人は今なお少なくないということが、その証左ではないでしょうか。

今回の「SUN!SUN!サンシャインCafe」の件も同じようなことが言えるはずで、沼津の街でラブライブ!サンシャイン!!/幻日のヨハネが軽んじられてしまっているということなどは決してなく、街づくりの一環で一度撤退を余儀なくされてしまうというだけの話ではないでしょうか。そもそも、あわしまマリンパークが存続に向けた方策を探り始めているように、「SUN!SUN!サンシャインCafe」とて、店側は移転を前向きに考えているということを発信しています。訪れる側の我々としては、その動向を見守っているのが良いのではないかと考えます。

閉店前に過去のメニューが復刻されているようでしたが、あまりの混雑に、復刻されたものをいただくことができずにいます。チャンスを見計らって訪問したいなと思いつつも、どこかで復活を遂げたときでもよいのかな、そうであってほしいなと、良い報告を待つべきなのかなとも考えています。まずは7年以上にわたって営業を続けられてきたことについて、感謝の気持ちを伝えていきたいところです。

*1:ビアガーデン時代のホームページはこちら⇒ https://www.yudai.co.jp/festa/garden/index.html